like an art DESIGN BLOG

名古屋のプロダクトデザイン会社、ライカアートのブログです。

デザインとは何か②

前回の記事で、デザインとは「心理的最適化」「生理的最適化」「知的最適化」ではないかと説きました。今回はそれについて深堀りします。

 

likeanart.hatenablog.com

 

心理的最適化とは、簡単に言ってしまえば子供向けの玩具は丸っこい親しみやすい形にするなどの、ユーザーの気持ちに寄り添った開発姿勢です。例えであげたように主に造形表現に大きく関わる要素です。

機械的な最適解、生産効率上の最適解では抜け落ちてしまう重要な視点です。

ヤンマーはフェラーリのデザイナーであった奥山清行氏を起用し、トラクターのデザインを通して農業のイメージ刷新を試み、農業に従事する若い世代の心を捉えました。

たかが色、形ではありますが思っている以上にその心理的効果は大きいのです。

 

生理的最適化とは、握りやすいグリップの造形であったり、直感的にわかりやすいGUI設計など人間の生理的(かつ身体的)な側面に焦点をあてた開発姿勢です。これは人間工学などを通して広く一般的に認知されていると思います。

形状についての例ではありませんが、ダイソンのヘアドライヤーは一番の重量物であるモーターをグリップの付近にレイアウトすることで操作性を向上させました。これは技術的イノベーションであると同時に人の行為に着目したデザイン的アプローチでもあります。

 

そして、近年のデザインにおいてはスタイリングがかっこいい、使いやすいといった事以上に、複雑で奥行きのある味わい深い体験をもたらすものが評価される傾向にあります。

それに大きく関わっているのが知的最適化という視点です。

映画やアニメなどの映像作品ではよくオマージュ(芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事-Wikipedia)やパロディ(他の芸術作品を揶揄や風刺、批判する目的を持って模倣した作品、あるいはその手法-Wikipedia)が出てきます。元の作品や情報を知っている人なら思わず二ヤリとしてしまいます

ウィット(英語で機知、機転などを意味する語-Wikipediaやユーモア(人を和ませるような《おかしみ》のこと諧謔(かいぎゃく)-Wikipedia)はなんの変哲もない内容の会話を楽しい体験に変えます。

人は知識をフルに活用することに喜びを感じ、自分の知識的水準に近いものをより好みます。

 つまり対象ユーザーの知識的水準や文化的背景に合わせたコミュニケーションデザイン(プロダクトのビジュアルや使用感など)がより奥深い体験をもたらすのです。

アップルの製品群といえば極々シンプルなデザインで非常に高く評価されています。しかし、正直アレの何がいいのかわからない、つまらないと感じている人も多いと思います。彼らと評価している人たちの大部分との違いは知識の差にあると思います。これまでアップルがたどってきたデザインや技術的イノベーションの数々、その背景にある一貫した思想を知っている、いわゆるリテラシーの高い人たち(アップルのターゲットユーザー)はあの極シンプルな造形は一朝一夕では実現できない尊いものであることを感じ取っているはずです。そして10年近くかけて同じコンセプトの造形を深化させていくその異例なスタンスに熱狂しているのです。

 

 以上が私の現状のデザイン観ですが、

私自身も以上のことだけでデザインを完璧に定義しきれているのかと言うと、まだ自信はありません。今後もデザイン活動をしながら考えていきたいと思います。
(執筆:白川)